近年の子どもの学力低下、その背景を現場から考える

近年、「子どもの学力が低下しているのではないか」という声をよく耳にします。

文部科学省の各種調査でも、学力や学習意欲について課題が指摘されることが増えてきました。

私は現在、学習支援塾を運営しながら、これまでスクールカウンセラーや医療現場でも多くの子どもたちと関わってきました。

今回は、実際に現場で子どもたちを見てきた立場から感じている「学力低下の背景」について書いてみたいと思います。


学力低下の背景① 学習へのモチベーションの低下

一つ目の要因として感じるのは、学習に対する意欲やモチベーションの低下です。

最近は「勉強ができなくても生きていける」「無理に勉強しなくてもいい」

といった価値観が、以前よりも広く共有されるようになってきました。

これは一概に悪いことではないと思っています。

学習が苦手な子どもが、できないことで自信を失ったり、強いストレスを感じてきた背景を考えると、

「勉強だけがすべてではない」という考え方が広がったこと自体には、意味があると感じます。

ただ一方で、その価値観が強くなりすぎると、

「学習しなくてもいいや」

「頑張らなくてもいい」

という方向に傾いてしまい、結果として学習量そのものが減ってしまうことがあります。

現場で見ていると、「やらない理由」が自然と増えている子どもたちも少なくありません。


学力低下の背景② 反復学習の減少

二つ目は、反復学習の機会が減っていることです。

学校現場では現在、

・探究学習

・アクティブラーニング

・話し合い活動や発表

といった学びが多く取り入れられています。

これらは、考える力やコミュニケーション力を育てる上で、とても大切な取り組みです。

ただその一方で、

・漢字を何度も書いて覚える

・計算を繰り返し解いて定着させる

・単語を反復して覚える

といった基礎を身につけるための反復練習の時間が十分に取れていないと感じる場面もあります。

基礎学力は積み重ねです。

土台が不十分なまま応用的な学習に進むと、「分からない」「ついていけない」という感覚が強くなり、結果として学習意欲の低下につながってしまいます。


学力低下の背景③ ゲーム・スマホ時間の増加

三つ目は、ゲームやスマートフォンに触れる時間の増加です。

多くの中学生がスマホを持ち、小学生でも家庭でゲームやタブレットに触れる時間がとても長くなっています。

一人で画面を見続ける時間が増えることで、

・集中力が続きにくい
・勉強に切り替えるのが難しい
・語彙力が伸びにくい

といった影響が見られることもあります。

言葉の力は、親との会話、友だちとのやりとり、大人との雑談

といった人との関わりの中で育つ部分がとても大きいものです。

一人でゲームやSNSに向き合う時間が増えるほど、自然な会話から学ぶ機会が減ってしまうことも、学力低下の一因として考えられます。


学力を育むために

大切なのは、「戻るところは基礎」だと感じています。

・計算力
・漢字の読み書き
・単語を覚える力

こうした基礎学力は、将来、

・筋道を立てて考える力

・文章を理解する力

・自分の考えを表現する力

につながっていきます。

また、メディアとの付き合い方は「完全にやめる」ではなく、コントロールすることが現実的です。

例えば、

・勉強するときはスマホやゲームを視界から離す
・時間を決めて使う
・なぜ制限が必要なのかを話し合う

といった工夫だけでも、集中力は大きく変わります。

そして何より大切なのは、

「やらされる勉強」ではなく、「やってみようと思える勉強」にしていくこと。

モチベーションを大切にしながら、少しずつ基礎を積み重ねていくことが、学力を支える土台になると感じています。

学習支援塾KiT

KiT(キット)は広島県三次市にある臨床心理士・公認心理師が運営している学習塾です。基礎学力の向上、学習意欲向上、学習する場の提供などを目的にしています。

0コメント

  • 1000 / 1000